社労士 渡邊のコラム

プライバシー保護/心の健康問題休業労働者の職場復帰支援手引き10

メンタルヘルス対策相談(専門社会保険労務士・産業カウンセラー)

 

5 プライバシーの保護

職場復帰支援において扱われる労働者の健康情報等のほとんどが、労働者のプライバシーに関わるものである。労働者の健康情報等は個人情報の中でも特に機微な情報であり、厳格に保護されるべきものである。とりわけメンタルヘルスに関する健康情報等は慎重な取扱いが必要である。また、周囲の「気づき情報」は、当該提供者にとっても個人情報であり慎重な取扱いが必要となる。事業者は労働者の健康情報等を適正に取り扱い、労働者のプライバシーの保護を図らなければならない。

(1)情報の収集と労働者の同意等

職場復帰支援において取り扱う労働者の健康情報等の内容は必要最小限とし、職場復帰支援と事業者の安全配慮義務の履行を目的とした内容に限定すべきである。
労働者の健康情報等を主治医や家族から収集するに際しては、あらかじめ、利用目的とその必要性を明らかにして本人の承諾を得るとともに、これらの情報は労働者本人から提出を受けることが望ましい。そうすることによって、プライバシーを保護するとともに、労働者が事業者に不信感を持ったり、トラブルが発生したり、またその結果として職場復帰が円滑に進まなくなること等を防止することにつながる。また、労働者の健康情報等を第三者へ提供する場合も原則として本人の同意が必要である。これらの同意は、包括的、黙示ではなく、個別に明示の同意を得ることが望ましい。
このような場合に備えて、あらかじめ衛生委員会等の審議を踏まえて、労働 者の同意の取り方やその基本的な項目や手続き等を定めておくとともに、労働者に周知しておくことが望ましい。
なお、心の健康問題の症状によっては日常の細かな選択や決定に大きなストレスを伴うこと等もあり、同意の諾否の選択を求めるに当たっては一定の配慮が必要である。

(2)情報の集約・整理

労働者の健康情報等についてはそれを取り扱う者とその権限を明確にし、職場復帰支援に関わる者がそれぞれの責務を遂行する上で必要な範囲の情報に限定して取り扱うことを原則とすべきである。特に、メンタルヘルスに関する健康情報等のうち、心の健康問題を示す疾患名は誤解や偏見を招きやすいことから、特に慎重な取扱いが必要である。
このことからも、労働者の健康情報が産業医等その他あらかじめ定められた特定の部署において一元的に管理され、業務上必要であると判断される限りで、事業場の中で、これらの情報を必要とする者に提供される体制が望ましい。この場合、当該部署は専門的な立場からこれらの情報を集約・整理・解釈するなど適切に加工し、労働者のプライバシーが守られた状態で関係者間の情報交換が可能になるよう、調整役として機能する必要がある。

(3)情報の漏洩等の防止

健康情報等については、労働者等の安全や健康への配慮等、相当な目的がある場合に活用されるべきである。この点については、個々のケースに照らし、その利用の必要性と情報漏洩等の防止の要請を比較して、適切な判断がなされる必要がある。とくに産業医に対して、非専属である場合を含め、情報提供が行われないために、必要な職務が行われなくなるようなことがないよう留意する必要がある。
ただし、事業者は、労働者の健康情報等の漏洩等の防止措置を厳重に講ずる必要がある。また、健康情報等を取り扱う者に対して、その責務と必要性を認識させ、具体的な健康情報等の保護措置に習熟させるため、必要な教育及び研修を行う必要がある。さらに、事業場外資源である外部機関を活用する場合には、当該機関に対して、労働者のプライバシーの保護が図られるよう、必要かつ適切な方策を講じる必要がある。

(4)情報の取り扱いルールの策定

事業者は、職場復帰支援プログラムに関する規程及び体制の整備を図るに当たって、健康情報等の取扱いに関して、衛生委員会等の審議を踏まえて一定のルールを策定するとともに、関連する文書の書式、取扱い、保管方法等について定めるとともに関係者に周知しておく必要がある。

(5)個人情報の保護に関する法令・指針等の遵守

個人情報の保護、個人情報の適正な取扱い、健康情報を取り扱うに当たっての留意事項等に関しては、個人情報の保護に関する法律や、「雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針」など同法に基づく告示等が制定されている。また、労働者の健康情報の保護に関して、「雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について」などが示されている。事業者はこれらの趣旨及び内容を十分に理解し、これらを遵守し、労働者の健康情報の適正な取扱いを図らなければならない。

 

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