社労士 渡邊のコラム
東京横浜 社会保険労務士 就業規則作成相談/時間外労働規制152020年3月6日更新
人事労務制度構築・就業規則作成変更・助成金申請・相談顧問契約 社労士相談
◆労働時間管理の実務イメージ②/時間外労働の上限規制
4 毎月の時間外労働と休日労働の合計時間数について、2〜6か月の平均 時間数を把握します。
◆Step2で把握した時間外労働と休日労働の合計時間数をもとに、2か月平均、3か月平均、4か月平均、5か月平均、6か月平均を算出します。
例えば、2021年9月については、前月までの実績をもとに以下のように2~6か月平均を算出します。
2か月平均 ⇒57.5 …8〜9月の平均
3か月平均 ⇒53.3 …7〜9月の平均
4か月平均⇒55.0…6〜9月の平均
5か月平均⇒60.0 …5〜9月の平均
6か月平均⇒63.3 …4〜9月の平均
同様に他の月についても2〜6か月平均を算出するため、すべての月について、隣接する2〜6か月の平均が80時間以内となるよう管理しなければなりません。
前年度の36協定の対象期間の時間数についても2〜6か月平均の算定時間に含みます。
例えば、今回のケースで2021年4月について計算するためには、直前の5か月分(2020年11月 〜2021年3月)の実績も必要です。
2020/11 | 2020/12 | 2021/1 | 2021/2 | 2021/3 | 2021/4 | |
時間外労働 | 45 | 45 | 30 | 20 | 45 | 80 |
休日労働 | 10 | |||||
合計 | 45.0 | 55.0 | 30.0 | 20.0 | 45.0 | 80.0 |
2か月平均 ⇒62.5 …3〜4月の平均
3か月平均 ⇒48.3 …2〜4月の平均
4か月平均⇒43.8 …1〜4月の平均
5か月平均⇒ 46.0 …12〜4月の平均
6か月平均⇒ 45.8 …11〜4月の平均
5 前項1〜4で把握した前月までの実績をもとに、当月における時間外労働時間数と休日労働時間数の最大可能時間数を把握します。
◆前項2〜3で把握した時間外労働、休日労働の時間数や合計数などをもとに、当月における、1時間外労働、2時間外労働+休日労働の合計の最大限可能となる時間数を把握します。
1時間外労働の可能時間数
当月の時間外労働の可能時間数を算出します。
例えば、今回のケースにおいて、2021年10月、2022年2月について、①の数値は以下のとおり算出します。
2021/4 | 2021/5 | 2021/6 | 2021/7 | 2021/8 | 2021/9 | 2021/10 | 2021/11 | 2021/12 | 2022/1 | 2022/2 | 2022/3 | |
時間外労働 | 80 | 60 | 45 | 35 | 35 | 80 | 70 | 45 | 75 | 70 | 40 | 40 |
特別条項累計回数 | 1 | 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | 4 | 4 | 5 | 6 | 6 | 6 |
時間外労働累計 | 80 | 140 | 185 | 220 | 255 | 335 | 405 | 450 | 525 | 595 | 635 | 675 |
(2021年10月)
・9月までに特別条項を3回使っているので、10月初時点での特別条項の残回数は3回
・年の上限680時間 ー9月までの累計335時間= 345時間 となり、月の上限値85時間を上回っています。 したがって、10月の時間外労働の上限は85時間となります。
(2022年2月)
・1月までに特別条項を6回使っているため、2月初時点での特別条項の残回数は0回
・年の上限680時間 ー1月までの累計595時間= 85時間 となり、月の時間外労働の原則上限値45時間を上回っています。 したがって、2月の時間外労働の上限は45時間となります
2時間外労働+休日労働の可能時間数
当月の時間外労働+休日労働の可能時間数を算出します。
例えば、今回のケースにおいて、2021年10月について、②の数値は以下のとおり算出します。
(i)下表の数値を算出します。
2か月平均80時間以内となる時間 | 80.0 |
3か月 〃 | 125.0 |
4か月 〃 | 160.0 |
5か月 〃 | 180.0 |
6か月 〃 | 180.0 |
2021 /4 | 2021 /5 | 2021 /6 | 2021 /7 | 2021 /8 | 2021 /9 | |
時間外労働+ 休日労働の合計 | 80.0 | 80.0 | 60.0 | 45.0 | 35.0 | 80.0 |
(ii)上表の最小値(80時間)と上限値(今回のケースでは(E)の85時間)のうち小さい方の数値、つまり80時間となります。
◆上記1、2の範囲内に収まるように、日々の労働時間を管理します。
まとめ
①「1日」「1か月」「1年」のそれぞれの時間外労働が、36協定で定めた時間を超えないよう管理。
②休日労働の回数・時間が、36協定で定めた回数・時間を超えないよう管理。
③特別条項の回数が
残っていれば ⇒ (①の)時間外労働の残時間数まで
残っていなければ ⇒ 原則の上限時間(=限度時間)まで (※時間外労働の残時間が限度時間以下なら残時間数まで)
となるよう月の時間外労働を管理。
④毎月の時間外労働と休日労働の合計が、100時間以上にならないよう管理。
⑤月の時間外労働と休日労働の合計について、前2〜5か月の合計と合算して、 月数(2〜6)×80時間を超えないよう管理。
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