社労士 渡邊のコラム

検討留意事項②/心の健康問題休業労働者の職場復帰支援手引き12

メンタルヘルス対策相談(専門社会保険労務士・産業カウンセラー)

 

6その他職場復帰支援に関して検討・留意すべき事項②

(3)試し出勤制度等

社内制度として、正式な職場復帰の決定の前に、以下の1から3までの例に示すような試し出勤制度等を設けている場合、より早い段階で職場復帰の試みを開始することができ、早期の復帰に結びつけることが期待できる。また、長期に休業している労働者にとっては、就業に関する不安の緩和に寄与するとともに、労働者自身が実際の職場において自分自身及び職場の状況を確認しながら復帰の準備を行うことができるため、より高い職場復帰率をもたらすことが期待される。

1 模擬出勤:職場復帰前に、通常の勤務時間と同様な時間帯において、短時間又は通常の勤務時間で、デイケア等で模擬的な軽作業やグループミーティング等を行ったり、図書館などで時間を過ごす。

2 通勤訓練:職場復帰前に、労働者の自宅から職場の近くまで通常の出勤経路で移動を行い、そのまま又は職場付近で一定時間を過ごした後に帰宅する。

3 試し出勤:職場復帰前に、職場復帰の判断等を目的として、本来の職場などに試験的に一定期間継続して出勤する。 ただし、この制度の導入に当たっては、この間の処遇や災害が発生した場合の対応、人事労務管理上の位置づけ等について、あらかじめ労使間で十分に検討しておくとともに、一定のルールを定めておく必要がある。なお、作業について使用者が指示を与えたり、作業内容が業務(職務)に当たる場合などには、労働基準法等が適用される場合がある(災害が発生した場合は労災保険給付が 支給される場合がある)ことや賃金等について合理的な処遇を行うべきことに 留意する必要がある。
また、この制度の運用に当たっては、産業医等も含めてその必要性を検討するとともに、主治医からも試し出勤等を行うことが本人の療養を進める上での支障とならないとの判断を受けることが必要である。 
さらに、これらの制度が事業場の側の都合でなく労働者の職場復帰をスムー ズに行うことを目的として運用されるよう留意すべきである。
特に、3の試し出勤については、具体的な職場復帰決定の手続きの前に、その判断等を目的として行うものであることを踏まえ、その目的を達成するために必要な時間帯・態様、時期・期間等に限るべきであり、いたずらに長期にわたることは避けること。

 

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