社労士 渡邊のコラム

職場復帰可否判断/心の健康問題休業労働者の職場復帰支援手引き5

メンタルヘルス対策相談(専門社会保険労務士・産業カウンセラー)

 

(3)職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成<第3ステップ> ①

安全でスムーズな職場復帰を支援するためには、最終的な職場復帰決定の手続きの前に、必要な情報の収集と評価を行った上で職場復帰の可否を適切に判断し、さらに職場復帰支援プランを準備しておくことが必要である。このプロセスは、本手引きで示す職場復帰支援の手続きにおいて中心的な役割を果たすものであり、事業場内産業保健スタッフ等を中心に、管理監督者、当該労働者の間で十分に話し合い、よく連携しながら進めていく必要がある。 
また、心の健康づくり専門スタッフが配置された事業場においては、これらの専門スタッフが、より専門的な立場から、他の事業場内産業保健スタッフ等をサポートすることが望まれる。 
産業医が選任されていない50人未満の小規模事業場においては、人事労務管理スタッフ及び管理監督者等、又は衛生推進者若しくは安全衛生推進者が、主治医との連携を図りながら、また地域産業保健センター、労災病院勤労者メンタルヘルスセンター等の事業場外資源を活用しながら検討を進めていくこと が必要である。  
ケースによっては、最終的な職場復帰の決定までのプロセスを同時にまとめて検討することも可能であるが、通常、職場復帰の準備にはある程度の時間を要することが多いため、職場復帰前の面談等は、実際の職場復帰までに十分な準備期間を設定した上で計画・実施することが望ましい。 
職場復帰の可否及び職場復帰支援プランに関する話し合いの結果については、「職場復帰支援に関する面談記録票」(様式例2)等を利用して記録にまとめ、事業場内産業保健スタッフ等や管理監督者等の関係者がその内容を互いに確認しながらその後の職場復帰支援を進めていくことが望ましい。

ア 情報の収集と評価

職場復帰の可否については、労働者及び関係者から必要な情報を適切に収集し、様々な視点から評価を行いながら総合的に判断することが大切である。 家族を含めた第三者からの個人情報の収集については、労働者のプライバシーに十分配慮することが重要なポイントとなる。情報の収集と評価の具体的 内容を以下に示す。
なお、事業場外の職場復帰支援サービスや医療リハビリテーション等を利用している場合には、その状況等も有効な情報である。

(ア)労働者の職場復帰に対する意思の確認

a 労働者の職場復帰の意思及び就業意欲の確認

b 職場復帰支援プログラムについての説明と同意

(イ)産業医等による主治医からの意見収集

診断書に記載されている内容だけでは十分な職場復帰支援を行うのが困難な場合、産業医等は労働者の同意を得た上で、下記(ウ)のa及びbの判断を行うに当たって必要な内容について主治医からの情報や意見を積極的に収集する。この際には、「職場復帰支援に関する情報提供依頼書」(様式例1)等を用いるなどして、労働者のプライバシーに十分配慮しながら情報交換を行うことが重要である。

(ウ)労働者の状態等の評価

a 治療状況及び病状の回復状況の確認

 (a)今後の通院治療の必要性及び治療状況についての概要の確認
 (b)業務遂行(自ら自動車等を運転しての通勤を含む。)に影響を及ぼす症状や薬の副作用の有無
 (c)休業中の生活状況
 (d)その他職場復帰に関して考慮すべき問題点など

b 業務遂行能力についての評価

 (a)適切な睡眠覚醒リズムの有無
 (b)昼間の眠気の有無(投薬によるものを含む。)
 (c)注意力・集中力の程度
 (d)安全な通勤の可否
 (e)日常生活における業務と類似した行為の遂行状況と、それによる疲労の回復具合(読書やコンピュータ操作が一定の時間集中してできること、軽度の運動ができること等)
 (f)その他家事・育児、趣味活動等の実施状況など

c 今後の就業に関する労働者の考え

 (a)希望する復帰先
 (b)希望する就業上の配慮の内容や期間
 (c)その他管理監督者、人事労務管理スタッフ、事業場内産業保健スタッフに対する意見や希望(職場の問題点の改善や勤務体制の変更、健康管理上の支援方法など)

d 家族からの情報

可能であれば、必要に応じて家庭での状態(病状の改善の程度、食事・ 睡眠・飲酒等の生活習慣など)についての情報

(エ)職場環境等の評価

a 業務及び職場との適合性

 (a)業務と労働者の能力及び意欲・関心との適合性
 (b)職場の同僚や管理監督者との人間関係など

b 作業管理や作業環境管理に関する評価

 (a)業務量(作業時間、作業密度など)や質(要求度、困難度など)等の作業管理の状況
 (b)作業環境の維持・管理の状況
 (c)業務量の時期的な変動や、不測の事態に対する対応の状況
 (d)職場復帰時に求められる業務遂行能力の程度(自動車の運転等危険を伴う業務の場合は投薬等による影響にも留意する。)

c 職場側による支援準備状況

 (a)復帰者を支える職場の雰囲気やメンタルヘルスに関する理解の程度
 (b)実施可能な就業上の配慮(業務内容や業務量の変更、就業制限等)
 (c)実施可能な人事労務管理上の配慮(配置転換・異動、勤務制度の変更等)

(オ)その他

その他、職場復帰支援に当たって必要と思われる事項について検討する。 また、治療に関する問題点や、本人の行動特性、家族の支援状況など職場 復帰の阻害要因となりうる問題点についても整理し、その支援策について検討する。

イ 職場復帰の可否についての判断

アの「情報の収集と評価」の結果をもとに、復帰後に求められる業務が可能かどうかについて、主治医の判断やこれに対する産業医等の医学的な考え方も考慮して判断を行う。この判断は、事業場内産業保健スタッフ等を中心に行われるが、職場環境等に関する事項については、管理監督者等の意見を十分に考慮しながら総合的に行われなければならない。
産業医が選任されていない50人未満の小規模事業場においては、人事労務管理スタッフ及び管理監督者等、又は衛生推進者若しくは安全衛生推進者が、主治医及び地域産業保健センター、労災病院勤労者メンタルヘルスセン ター等の事業場外資源を活用しながら判断を行う。

 

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