社労士 渡邊のコラム
訪問介護員の働きがい向上③/医療・福祉業界の人事労務サポート2018年11月1日更新
東京・横浜・川崎エリアの人事労務サポート 専門社会保険労務士 人事労務相談
◆就業規訪問介護員の働きがい向上のポイントⅢ(健康管理)
①訪問介護員の心の健康の保持増進
・介護従事者は、職場の上司・同僚、利用者そしてその家族等、人間関係の複雑な環境の中で、ストレスの蓄積しやすい環境
・訪問介護員のメンタルヘルスケアの増進のため、管理監督者や訪問介護員に対する研修はもちろんのこと、訪問介護員同士が気軽に相談できるような体制整備が必要
・職場のメンタルヘルス対策については、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」「事業場外支援によるケア」の4つのケアが継続的かつ計画的に行われることが重要、また、「心の健康づくり計画」を策定しメンタルヘルス対策を継続的かつ計画的に行うことが重要
・小規模事業場においては、セルフケア、ラインケアによるケアを中心として、実現可能なところから着実に取組みを進めるとともに、場合によっては地域産業保健センター等の事業場外資源の提供する支援等を積極的に活用が望まれる
・常時50人以上の労働者を使用する事業場は、毎年定期的にストレスチェックの実施が義務
②腰痛対策
・訪問介護員の就労実態に関する調査によれば、腰痛の自覚症状を有している者は全体の約半数、腰痛防止のコルセット使用者も約4分の1
・事業者にとっても、訪問介護員が腰痛に罹患して休業したり、さらには早期退職を余儀なくされる等のリスクを低減するためにも、腰痛対策は重要
・介護現場でみられる腰痛は主に、筋肉の過度な持続的緊張によって起こる筋・筋膜性腰痛と、椎間板への無理な荷重によって起こる腰椎椎間板ヘルニアと言われ、中腰や前屈みなどの不自然な姿勢や重量物の持ち上げなどが原因
・だからこそ、訪問介護員に対して、腰痛に関する教育や介護現場における正しい姿勢の徹底、作業前や休憩時における腰痛体操の実施、そして腰部保護ベルト等の導入と正しい使い方の徹底、腰痛予防に対する取組の充実が不可欠
③健康診断の充実
・訪問介護員においては、前述のように心の健康対策や腰痛対策が非常に重要となっていることから、常時使用する従業員(訪問介護員等)に該当しない者に対しても、定期的に健康診断を実施することが望ましい
・健康診断の項目の中に腰痛に関する健診を含める等、健診の内容についても、法定項目を上回る形で、訪問介護事業の特性に応じた内容にすることが望ましい
・訪問介護員は直接利用者の身体に接触することも多いので、厚生労働省の通知にも「指定訪問介護事業者は、訪問介護員が感染源となることを予防し、また訪問介護員等を感染の危機から守るため使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じる必要がある」とあるように、感染症防止のためにも、常時使用する従業員(訪問介護員)に該当しない者に対しても、定期的に健康診断を実施することが望ましい
・健康診断の頻度については、1年に1回の実施はもちろんのこと、訪問介護員の健康リスクの早期発見、また利用者に対する感染リスク等予防の観点から、6ヶ月※に1回の実施が理想的 ※病原体によって汚染の著しい業務は、6ヶ月毎に1回の健診が義務であることも考慮
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