社労士 渡邊のコラム
労働判例から②(解雇 雇止め)[東京横浜 社労士]2018年1月6日更新
◆補佐人制度による弁護士との連携
社労士は補佐人として、個別労働関係紛争に関する民事訴訟の場面や、労働社会保険に関する行政訴訟の場面で、弁護士とともに裁判所に出頭し、意見を陳述することができます。依頼者は、相談の段階から支援を受けてきた社労士が、補佐人として弁護士とともに訴訟の対応にあたることで、安心して訴訟による解決を選択することができるようになります。
◆判例による紛争解決の重要性
労働法の基本は労働基準法ですが、社会の変化により、現在の法令では対応できない紛争も発生します。また、労働法の解釈は抽象的であり、事案ごとに具体的な法解釈が必要です。そのため、判例によって労働事件の解決を図ることが重要になるのです。
◇解雇
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とされます(解雇権濫用法理)。
成績不良・適格性の欠如、傷病等を理由とする解雇では、その事由が雇用関係を継続できないほど重大な程度に達している必要があります。
服務規律違反行為の解雇の場合は、普通解雇ではなく懲戒解雇とすることが一般的です。その懲戒解雇は、懲戒権濫用法理(労働契約法15条)の有効性を判断し、関係する諸判例を十分に理解したうえで実施しなければなりません。
整理解雇は使用者側の都合で行われるため、その有効性は、①人員削減の必要性、②解雇回避努力義務の履行、③被解雇者選択の合理性、④手続きの相当性の観点から厳格に判断されます。なお整理解雇の判例では、上記各4要件の総合判断・4要件全てが必要について、現在見解が分かれています。
◇雇止め
雇用期間に定めがあり、雇止めを実施する場合、①職務内容、②雇用契約の更新状況、③雇用契約の更新を期待させる使用者の言動の有無、④更新手続きの厳格さ、⑤労働者側の雇用契約継続の期待合理性などを判断して、その解雇権濫用法理を判断します。
客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、雇用期間満了後も有期雇用契約更新となり、雇用期間中は、やむを得ない事由がない限り労働者を解雇することはできません。
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